父

２００３年２月８日、父が永眠しました。
６日の昼間に実家の方から「出先で倒れて救急車で運ばれた」と連絡が入り、運ばれた時はすでに意識は無く,、仕事の方の都合をつけて私が駆けつけた時には救急救命センターのベッドの上にまるで眠っているかのように横たわっていました。
その姿を見てもほんの数時間前まで元気だったのが信じられません。
翌日になっても呼吸も脈拍も安定しているようなのでＣＴで調べてもらった結果出血した箇所も分かりこのまま脳の腫れも引いてくれば手術も可能であるとのことで微かな希望の光が見えてきました。
その日の午後に外科の方の集中治療室にベッドを移動、病院側も順調に行けば２週間くらい後には手術が出来るかもしれないし家族の方々も何かがあれば連絡するのでとりあえず自宅待機で大丈夫だと言ってくれたので家族の控え室に詰めていた私たちも一度家に帰ることにしました。
その後自宅へ帰り少しは眠っておかないとと思い床に入ったのですが・・・。

日付が変わった１２時過ぎに「容態が急変した」との連絡が入り、とる物もとりあえず病院に駆けつけたのですが途中夜間の工事渋滞に巻き込まれ間に合いませんでした。
倒れた原因はクモ膜下出血だったのですが症状が少しずつ進んでくる場合は頭痛がしたりするが父のように血管が破裂するかの如く一気に発症するとこのようにあっけない最後になってしまうようです。
普段から血圧の高い父だったので常に爆弾を抱えていたようなものだったのでしょう。

火葬場の関係で週の明けた１０日と１１日に葬儀を行ったのですが私の実家は地元で自営業（クリーニング業）を営んでいるので沢山の方々に焼香に来ていただきました。
昨年まで現役で仕事をしていたし地元の町会や老人会、それに趣味のカラオケの会などのことでも細々と動いていたので交友関係はかなり広かったようです。
今年に入ってからは商売の方も全て長男（兄）が引き継いでやるようになっていたのでこれからは自分の好きなことをやって余生を送るんだと話していました。
何でも今年は「絵」もやりたいし「書」にもチャレンジしたいと母には話していたようです。
葬儀の方も済んで普段の生活の戻った今、「死」は遺族にとって悲しいことなのですが父のように惜しまれながらこの世を去るということは本当は有り難いことなのではないと思えるようになりました。
今、父の遺骨は実家の居間に作った祭壇の上にあります。
遺影は生前母と二人で旅行に行ったときに珍しく母がシャッターを切った写真です。
沢山あった写真の中で選んだちょっとピンボケなこの写真が一番父らしく写っていました。
いつもお洒落でループタイのよく似合った父でした。

どうぞ安らかにお眠りください。