ＸＬ50Ｓ



ワタシのお店の横には１０年近く前にレストアした赤いＸＬ50Ｓが置いてあります、いや、置いてあったと言ったほうが今は正しいです。
以前はお店の中に置いていたのですが昨年の秋に店舗改装したのをきっかけに置くスペースが無くなり外に置くようになってしまったのです。
もちろん営業終了後はお店の中に入れていましたが天気の悪い日の営業日に外で雨ざらしになっているのを見るのは非常に辛い物がありました。
バイクや車、それに釣り道具なんかもただの道具だし使ってこそ価値があるわけなのですが、懐古趣味的に所有するのもよいかもしれませんがオートバイや車の博物館に展示してある床を汚さないようにエンジンオイルも抜かれたものはミイラにしか見えません。
このバイクもオイルこそ抜いてはいませんが持ち主の自己満足のためにただの飼い殺しになっているだけなのではないか、このまま手元に置いておいても何の意味も無いのではないかと思うようになってきたのです。

そこでカワサキのＷ1のオーナーであり筑波のモンキーレースにも参戦し常に上位入賞をしている友人のＭさんに話したところ４サイクルの５０ＣＣでこいつが走るには丁度良いレギュレーションのレースがあるということらしい。
オンロードを走るのでタイヤやホイールの径を変えるのは仕方のないことですが出来るだけこのままの形で参戦することを条件に譲ることにしました。



８月１７日の早朝、愛車のビッグホーンでトレーラーを引いてきたＭさんは手際よくベルトで固定していきます。
アクセルをハイスロットルに変更してあるせいかノーマルのキャブレターとの相性がイマイチなのでたまに外に出してきてエンジンを掛けようとしてもなかなか掛からず、掛かっても吹け上がりが悪かったりしましたがＭさんは以前某キャブレターの会社で技術者をしていた人なのでそのようなことはまったく問題ないでしょう。



家の前の道で切り返しをして走り去っていくＸＬ５０、保安部品を外した状態であのようにトレーラーに積まれていく姿は一丁前のモトクロッサーに見えます。
子供が親離れした瞬間に急に逞しく見えるような、そんな感覚なのでしょうか。
何となく息子が旅立っていくみたいで寂しいような気がしますがレースデビューの日が楽しみだ・・・。